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大阪地方裁判所 昭和59年(ワ)6285号 判決

一 請求原因1について

1 原告田中功が本件特許権(但し出願日の特定を除く)を有することは当事者間に争いがない。

2 成立に争いのない甲第一号証(特許原簿謄本)によると右特許権の出願日が昭和五二年九月九日であることが認められる。甲第二号証(本件特許公報)の出願日の記載は誤記であると解される。

3 証人寺戸昭の証言及び弁論の全趣旨によると、原告会社が本件特許権の独占的通常実施権者であることが認められる。

二 請求原因2、3、5及び6の事実は当事者間に争いがない。

三 請求原因4について

1 いずれも成立に争いのない甲第三ないし七号証及び証人徳野英一郎の証言によると、請求原因4(二)の(1)ないし(4)の事実が認められる。

2 他方前掲甲第三ないし七号証、証人徳野の証言により成立の認められる乙第一号証及び右証言によると次の事実が認められる。

(一) 被告は昭和五三年春ころからイ号製品を製造販売した。

(二) そのころ本件特許はすでに出願されていたが(最初は実用新案として出願されていた)、出願公開されたのは五五年四月一九日であつた。

(三) 被告は右公開によつて本件発明の存在を知つたので、まもなくイ号製品の製造販売について原告らと協議したが、合意を得ることができなかつた。

(四) そこで被告はその製造販売する籾殻等収納袋の仕様を被告の主張2(二)記載の新製品のとおりに変更し、五五年八月四日付書面で、本社のほか各支店、営業所へ右仕様変更を知らせた。

(五) 右仕様変更に伴い、被告は五五年六月ころカタログを新製品用に作成し直した。その際新製品の写真撮影の労力や費用を節約するため、写真だけでは新製品との見分けがつかないイ号製品の写真を新製品用カタログ(甲第四号証)に使用した。このカタログには新製品の使用方法を記載し、イ号製品の使用方法や図面は記載しなかつた。

(六) 被告は五六年五月一日発行及び同年七月一日発行の雑誌「家の光」(甲第五、第六号証)に掲載した籾殻等の収納袋の広告並びに五七年から現在まで使用しているカタログ(甲第七号証)にも、右と同様の理由によりイ号製品の写真を使用したが、これらにも新製品の使用方法や図面を掲載し、イ号製品の使用方法や図面は記載しなかつた。

(七) 被告は新製品への仕様変更当時イ号製品の在庫五四六〇枚を有したが、その後まもなくこれを完売し、遅くとも昭和五七年ころにはイ号製品の在庫はなかつた。

3 以上によると、請求原因4(二)の(1)ないし(4)の事実(被告の発行したカタログや広告にイ号製品の写真が掲載されていること)から、請求原因4(一)の事実(被告が遅くとも五七年七月以降もイ号製品を製造販売していること)を推認することはできない。

4 検甲第二号証について

(一) 被告製品であることについて当事者間に争いのない検甲第二号証及び証人寺戸昭の証言によると、五八年七月ころ宇部市農業協同組合に被告の製造したイ号製品が一枚存在したこと、同農協の営業課長繁永正治は原告会社従業員寺戸昭に対し、被告から見本として右イ号製品を受領した旨説明したことが認められる。

(二) しかし右寺戸の証言によつても宇部市農協が見本を受取つた時期は明かでなく、2認定の経緯及び前掲徳野証言に照らすと、右(一)の事実から被告会社の従業員が宇部市農協にイ号製品を見本として交付したのを五八年頃と推認することはできない。被告から同農協へイ号製品を見本として交付した事実があつたとしても、五五年八月ころ以前のこととうかがわれる。

5 他に被告が請求原因4(一)のようにイ号製品を販売した事実を認めるに足りる証拠はない。

四 よつて原告らの本訴各請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がないからこれを棄却する。

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